私の家の地下深く、コンクリートの廊下を渡ったところに厚さ76cmの鉄の扉があります。その扉を開けると、そこにあるのは核戦争の脅威から身を守るための部屋。この部屋は東西の冷戦が真っ盛りのころに作られたのです。当時、ケネディとフルシチョフはお互いに敵意を燃やしていました。ふたりの背後にはミサイルが詰まった兵器庫が控えていたのです。
40年前、数日にわたり多くの人々がこの世の終わりが来たと心から信じていました。当時この家に住んでいた百万長者はハルマゲドンを乗り切るべく地下室を作ったのです。脅威が去った後、彼はこの部屋をワイン庫に改造しました。
私はお酒をたしなみません。グラス一杯のワインを飲んだだけで笑い上戸になります。二杯飲んだら、前後不覚になり、スプーンを床に落としてしまいます。でも私は本の収集家です。それで、その部屋はすぐに何千冊という本でいっぱいになってしまいました。
長年にわたり、この部屋は本であふれかえっていました。ここに食料の蓄えはありません。缶詰のスープも、乾燥オレンジ飲料も、ミネラル水のタンクもないのです。ただただダンボール箱に詰められたたくさんの本があるだけ。私が廊下を渡って新しい箱を持ち込むたび、未読の本たちは私を無言で非難しました。
週末、私は大掃除を実施しました。千冊以上の本を古本屋に売ってしまったのです。収益金は子供のための慈善事業に寄付しました。ほとんどの本は未読のままでした。それらの本をすべて読もうとしたら、何年もの時が必要だったでしょう。たとえ他に何もせず読書に没頭したとしても。
もちろん、手元に残した本はたくさんあります。私のお気に入りや、友達からのプレゼント、そして研究のために必要な書籍は手放しませんでした。
でも、多くの本を処分することで、私の心から重荷が取り払われました。これは建設的な決断だったと思っています。「いつか読まなければいけない」と自分に言い聞かせてきた本をすべて忘れ、心機一転して出直すことができたからです。これから私は過去に一線を画し、未来に向かって歩いていくつもりです。